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ジャズギターを始めようとしたとき、多くの人が最初に迷うのが「フルアコとセミアコ、どちらを選ぶか」ではないでしょうか。見た目はよく似ていますが、構造も音も得意分野もはっきり異なります。本記事では、フルアコとセミアコの違いを構造・音・ハウリング耐性・ジャンル適性の観点から整理し、最後に各タイプのおすすめモデルを3本ずつ紹介します。
フルアコとセミアコの違いは「センターブロック」にある
フルアコ(フルホロウボディ)とは
ボディ内部が完全に空洞のエレキギターです。アーチを描いたトップにfホール、という組み合わせが伝統的なスタイルで、アンプを通さなくてもある程度の音量で鳴ってくれます。ボディ厚はモデルにより7〜9cmほどの深胴が定番で(Gibson ES-175やL-5は約8.5cm)、この豊かな「箱鳴り」こそがジャズトーンの源になっています。
セミアコ(セミホロウボディ)とは
見た目は空洞ボディですが、ボディ中央に「センターブロック」と呼ばれる木材が貫通しているのが最大の違いです。空洞なのはブロックの両脇だけで、いわばソリッドギターとフルアコの中間的な構造。元祖は1958年発表のGibson ES-335で、薄胴+ダブルカッタウェイが典型的なスタイルです。
豆知識:「薄いからセミアコ」とは限らない
Epiphone CasinoはES-335とよく似た見た目ですが、センターブロックのないフルホロウ構造、つまり薄胴のフルアコです。「薄い=セミアコ」ではなく、センターブロックの有無で区別すると覚えやすいと思います。
音とハウリング耐性を比較
| 項目 | フルアコ | セミアコ |
|---|---|---|
| 音色 | 箱鳴り豊かで温かく甘い | ソリッド寄りの輪郭+箱物の温かさ |
| サスティン | 短め。アタックが立つ | 長めでのびやか |
| ハウリング | 大音量・歪みに弱い | センターブロックが共振を抑えて強い |
| 生音 | 大きめ(自宅練習向き) | 控えめ(ソリッドよりは鳴る) |
| 取り回し | 深胴で大柄 | 薄胴で抱えやすい |
フルアコは空洞ボディがアンプの音圧で共振するため、大音量や歪みではハウリングしやすくなります。アンプから離れる・向きを変える・音量を抑えるといった対策はありますが、基本的にはクリーン中心の小〜中音量が得意なギターです。一方のセミアコはセンターブロックのおかげでハウリングに強く、歪ませてもコントロールしやすいのが魅力です。
ジャンル適性の違い
- フルアコ:ビバップやスウィングなど伝統的なジャズ、バラード、ソロギター、ボーカル伴奏。ロカビリー系でも活躍
- セミアコ:ジャズ全般に加えて、ブルース、フュージョン、ソウル/R&B、ロックまで幅広く対応。歪みに強いためジャズファンクやコンテンポラリー系にも向く
「ジャズ一本に絞るならフルアコ、ジャズもそれ以外も弾きたいならセミアコ」というのが昔からの定番の整理です。
有名ジャズギタリストはどちらを使っている?
フルアコ派の代表格はウェス・モンゴメリー。Gibson L-5 CESを愛用し、初期にはES-175を弾いていました。ジョージ・ベンソンは、Ibanezと開発した小型フルアコGB10を1977年から使い続けています。
セミアコ派では、Gibson ES-335を愛用し「Mr.335」の異名を持つラリー・カールトンが有名です。ジョン・スコフィールドも1981年製のIbanez AS200を40年以上にわたって愛用しています。
初心者はどちらを選ぶべき?
- フルアコが向いている人:伝統的なジャズトーンに憧れがある人。生音が大きいので、アンプを使わない自宅練習が中心の人にも
- セミアコが向いている人:ジャズ以外のジャンルも弾きたい人、バンドで大きな音を出す人、ハウリングに悩みたくない人。薄胴で抱えやすいのも利点です
どちらが正解ということはありませんが、「ジャズ専門でいく決意が固まっているならフルアコ、迷いがあるならセミアコ」と考えると選びやすいのではないでしょうか。
タイプ別おすすめモデル
※価格は2026年8月時点の実売目安です。為替や時期により変動します。
フルアコのおすすめ3本
Ibanez AF75(実売7万円前後)
低価格帯で「きちんと箱鳴りするフルアコ」として定番のエントリーモデル。完全空洞のフルホロウボディ(厚さ約7cm)にハムバッカー2基を搭載し、最初の1本として名前が挙がることの多いモデルです。
Ibanez AF95(実売10〜11万円前後)
Artcore Expressionistシリーズの中級機。ヴィンテージ系トーンで定評のあるSuper 58ピックアップを搭載し、国内で入手しやすい中級フルアコの代表格です。
Eastman AR372CE(実売19〜20万円前後)
ES-175系の実用派ジャズボックス。合板(ラミネート)ボディはハウリングに比較的強く、アンプで弾くジャズには合理的な選択です。手工感のある作りでコストパフォーマンスの評価も高い1本です。
セミアコのおすすめ3本
Ibanez AS73(実売7万円台)
「手頃なのに使える」と定評のあるエントリーセミアコ。甘めのハムバッカーとややふっくらしたネックで、単音弾きにもコードワークにも馴染みます。
Epiphone ES-335(実売7〜9万円前後)
本家Gibson監修の「Inspired by Gibson」ライン。元祖セミアコの設計をこの価格帯で味わえる、最初のセミアコの定番です。
YAMAHA SA2200(実売27〜28万円前後)
国内生産にこだわった日本製セミアコ。トーンノブを引き上げるだけでハムバッカーからシングルコイルに切り替えられる「バイサウンドシステム」を備え、丁寧な作りで長年支持されている定番機です。
まとめ
- フルアコは完全空洞、セミアコはセンターブロック入り。ここが最大の違い
- 甘く温かい伝統的なジャズトーンならフルアコ、ハウリングに強く守備範囲が広いのはセミアコ
- ジャズに絞るならフルアコ、幅広く弾きたい・大きな音で弾くならセミアコが選びやすい
どちらを選んでも、ジャズギターらしい「箱物の温かい音」は味わえます。予算と弾きたい音楽をイメージしながら、じっくり選んでみてください。


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